未知谷と自転車本
私が生まれて初めて手にした自転車ロードレース関係の本といえば、未知谷が出している「ツール・ド・フランス物語」(デイヴィッド・ウォルシュ著・三田文英訳)。


たまたまニュース番組でツール・ド・フランスのことを知り、速攻で現地に見に行って、それからというもの、ツール・ド・フランスすごい、ツール・ド・フランス楽しい、などとうわごとのように唱えていたものだから、ある年の誕生日に、父が買ってくれたのだった。(一体どうやって探し出してきたのだか。)


これを見ると思わず「書生」という言葉を思い出してしまう、つまり書生が持つにはぴったりと思われる青インクで「紀伊國屋書店」としかつめらしく書かれたわら半紙のカバーをはがしてみれば、そこには書店ブックカバーのお堅い学術的な雰囲気とは裏腹な、かくも賑々しいツールの風景写真。そして「ツール・ド・フランス物語」の表題。

紫色に連なる山脈をバックに、冬支度のファンたちで埋め尽くされた峠の中を縫っていく黄色いジャージの選手の姿。それを追う、赤と青のジャージの男。

それがインドゥラインとモトローラの選手、ということも知らぬまま、読み進んだ。


私の場合、なんの予備知識もないままに、選手名はおろか、行けば何か切れっ端が見られるだろう、ぐらいのノリで観戦に行ったので、レースの舞台裏、それぞれの選手たちの心情、こと、アシストの悲哀などをこの本を通して後付けで知ったわけだ。

最初の章「新人は語る」に登場するのはランス・アームストロング。
未知谷での発刊は1996年と書かれているので、むろんツールで7連覇するより前のこと。

今でこそ有名なランスも当時はまだ青二才で、ツールで区間優勝はしたものの、脚質としては、完全にクラシックハンター。グランツールの総合優勝など周囲が夢にも思わなかった頃。

その後病に倒れたあと不死鳥のように蘇り、歴史の頂点に名を刻むことになったそのランスを第一章にもってきたその先見の明に今更ながら驚く。


とまあ、未知谷の本と私の出会いはそんな調子だったのだが、昨日未知谷20周年記念パーティが開催された。

ゲスト挨拶ではチクリッシモの宮内さん。
それまで日本では未開の分野だった自転車ロードレースを単行本として出版した未知谷の鑑識眼を讃え、この競技の真価をいち早く見抜いた未知谷創設者の飯島徹さんへの賛辞を熱く語っておられた。

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で、未知谷では芸術本も出版していて、どうやら会ではこちらもアピールしたかった模様。
Johann Pinzelの作品集、「ピンゼル」
ウクライナの彫刻家だそうだ。
胸の奥底の激情が衣服の端々からもほとばしっている動的な作品の数々。
パリのルーブル美術館でも展覧会が開かれるという。

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最後に、未知谷さん、20周年おめでとうございます。
あれ以来、「ツール百話」、「ツール 伝説の峠」などなどお世話になっています。
これからも次に続くいぶし銀のような名作を期待しています。
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by maillotvert | 2011-10-29 08:44 | Bicycle related
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