ツール・ド・ロマンディ 2005 : 世界の車窓から、、、みたいな
ガタンゴトン、列車はのどかな景色を車窓いっぱいに映し出しながら山々と湖の間を縫って進んでいく。
まるで「世界の車窓から」の世界みたい、そう思って写真を1枚。
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肝心の窓の外の景色が白んでしまってこの写真ではよくわからない。
この家族たちが、そして私がそこで目にしたものが。
では外だけに焦点を当てて、もう1枚。
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なにしろ休みが急に取れることになり、その間開催されているレース、として選んだだけだったツール・ド・ロマンディ。
一体どんなレースなのだかよくわからなかったけれど、この空と湖と山々が渾然一体と溶けあう姿を見られただけでも、来た甲斐があったかも。

この景色には心が洗われた。
スイスを訪れたのは3度目だったのに、あの時体験したスイスがとりわけ私の心を捉えて放さなかった理由は果たしてなんだったのやら。
ロマンディ地方ならではの、たおやかさゆえなのか?あるいは私自身がそういうものを心底欲していた時期だったとか?
それとも単に天気がよかったから、そんなオチもありかもね。

こんな風景に毎日接していたら、人間悪いことなど考えもせず、犯罪率も低いのではないかしら、そんなことを、列車で相席になった人に問いかけてみた。
ところが、答えはそんなに甘美なものではなく。

冬の厳しさは格別で、自殺率が多い、のだとか。
ハタで見るほど世の中きれいごとばかりじゃないんだよと、かすかに憮然としたその目は訴えていた。

話を聞いた相手は、レースの余興に雇われたというアコーディオン弾き。
古式ゆかしいアコーディオンがばりばりのプロスポーツ競技の場で活躍するとは、ねぇ。
ちょっとちぐはぐなこの組み合わせが、滞在して以来時折垣間見るスイスの垢抜けなさ(*)と、どことなくマッチしていた。
(例えばレース前にフォークソングが流れたり、とか、誰も振り向いてくれないこんな余興で必死に盛り上げようとしたり、とか。)
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そのアコーディオン弾きのおじさんは、ポルトガル人が大嫌いだった。

どこかのレースで、ポルトガルチームの監督車に轢かれて大怪我を負ったせい。
後遺症なのだろう、からだの半分をひきずる姿や痛々しくて、ポルトガル人の悪口が止まらないのも無理はない。

その彼は、なかなかニュース通でもあって、突然こんなことを口走って私を驚かせた。

「日本の列車は効率ばかり優先して、人間の心を失っているんじゃないか」。

前日、TVの前で唖然とした記憶がよみがえる。
スイスのニュース番組が、こぞって日本の事故を報じていた。
あの忌まわしい福知山線の事故を。

日本でこんなことが起こるなんて。異国にいるだけに、現実のことのように思えなかった。
おじさんの言葉に、ぐうの音も出なかった。

昨日は事故から7年目だったそうだ。
つまりロマンディを見たのも7年前だったということ。

この事故の報道に接するたびに、凄惨な現場の映像とはまるで正反対の、あの穏やかなスイスの山々の記憶がよみがえる。


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by maillotvert | 2012-04-26 22:24 | Road Races
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